5G対応ポケットWiFiのおすすめ機種はどれ?~エリアや速度・料金の比較から
2020年の5Gサービスの開始に伴い、携帯・スマホを5G対応端末に切り替える方も増える中、ポケットWiFi・モバイルWiFiサービスにも5G化の波が来ている。ドコモの5Gモバイルルーターが2020年6月に発売され、WiMAXでも5G対応ルーターが2021年4月から販売開始された。また5G対応したホームルーターなども今後発売される見込みだ。
現時点では5G対応エリアは首都圏などのごく一部の地域が対象だが、多くのポケットWiFi・モバイルWiFiサービスが2年や3年の長期契約であることを考えると、これから新規に契約される方の多くは5G対応のルーター端末を契約するべきか、頭を悩ませるところだろう。
そこで本稿では、5G対応ポケットWiFiの現状を紹介すると同時に、ドコモやソフトバンク、au(WiMAX)から発売されているルーター機種の中でどれがおすすめかを、対応エリアや速度・料金などの各観点の比較から解説したい。
参考)
5G対応ポケットWiFi・モバイルWiFiと従来機種の比較で違いは何?
2021年に入り、続々と発売が開始された5G対応のポケットWiFiやモバイルWiFiのルーター。特にこれまでWiMAX回線や4G LTE回線のポケットWiFiを利用中でその利便性を知る方の場合は、5G対応機種への変更や乗り換えを検討中の方も多そうだ。
また格安SIM・スマホサービスも充実する中、スマホを格安SIMで運用し、インターネット用に別途ポケットWiFiを契約、2台持ちにして、月額料金を節約しながら自宅でも外出先でも快適な快適なインターネット環境を手に入れたいと考える方も多そうだ。
いずれも従来のポケットWiFi・モバイルWiFi機種と比較して、5G対応機種は何が違うのか?よく耳にする「圧倒的に高速化した通信速度」以外にも、対応エリアや料金プランの違いもあり、まずは最初に基本を押さえておきたい。
ちなみに、本稿で比較対象とするポケットWiFi・モバイルWiFiルーターは主に以下の3機種だ。
ドコモ「Wi-Fi STATION SH-52A」
ドコモで発売中の5G対応モバイルWiFiルーター・Wi-Fi STATION SH-52Aは、ドコモの5G回線・4G LTE回線(Xi)に対応、受信時最大4.2Gbpsの圧倒的に高速な通信速度が特徴の機種。
ソフトバンク「Pocket WiFi 5G A004ZT」
ソフトバンクが2021年3月に発売したPocket WiFi 5G A004ZTは、ソフトバンクの5G回線・4G LTE回線に対応したポケットWiFiルーターで、5Gミリ波への対応が特徴の機種。
WiMAX・au「Galaxy 5G Mobile Wi-Fi」
5G対応モバイルWiFiルーターのGalaxy 5G Mobile Wi-Fiは、UQ WiMAXなどのWiMAXプロバイダやauなどで契約可能な機種で、auの5G・4G LTE回線のほか、WiMAX 2+回線にも対応、広いエリアで高速通信を利用可能な機種。
5G回線に対応したポケットWiFi・モバイルWiFiの各機種で速度スペックや仕様、特徴に違いはあるものの、従来の4G LTE回線やWiMAX 2+回線に対応したポケットWiFiと比較して主な違いや「通信速度」「対応エリア」「料金プラン」の3点だ。以下でそれぞれ詳しく解説したい。
従来機種と比較して5G対応ポケットWiFi・モバイルWiFiは通信速度が高速化
従来のポケットWiFi・モバイルWiFiと比較して5G対応機種の最大の特徴は高速化した通信速度だろう。ドコモやソフトバンク、auの4G LTE回線を利用するポケットWiFiは数多くあるものの、通信速度は下り最大150Mbpsなどの機種が主流だ。
比較して5G対応ポケットWiFiの下り最大速度は1Gbps(1,000Mbps)以上と、数倍~約20倍に高速化した速度スペックが5G対応機種のメリット。
以下、ドコモ・ソフトバンク・au(WiMAX)の5G対応機種と従来機種の通信速度スペックの違いを比較した表を見れば、その違いは一目瞭然である。
キャリア | ドコモ | ソフトバンク | au・WiMAX |
---|---|---|---|
5G対応ポケットWiFi・モバイルWiFi機種 | Wi-Fi STATION SH-52A | Pocket WiFi 5G A004ZT | Galaxy 5G Mobile Wi-Fi |
下り最大速度 | 4.2Gbps(4,200Mbps) | 3.0Gbps(3,000Mbps) | 2.2Gbps(2,200Mbps) |
参考)従来機種の場合 | Wi-Fi STATION SH-05L | Pocket WiFi 802ZT | WX06(NEC製) |
下り最大速度 | 988Mbps | 838Mbps | 440Mbps |
ドコモ・ソフトバンク・auなど各キャリアの5G対応エリアは限定的
従来のポケットWiFi・モバイルWiFiと比較して高速な通信速度が5G対応機種の特徴・メリットである一方、通信速度が高速なのはインターネット通信で5G回線に接続・利用できる場合が前提で、5G回線に対応エリアしたエリアがまだ狭い点に注意が必要だ。
各5G対応ポケットWiFi・モバイルWiFiは4G LTE回線などにも対応可能なため、「5Gに接続できない=インターネットを利用できない」ではないが、5G回線に接続できなければ従来のポケットWiFi・モバイルWiFiと通信速度は大きな違いを実感しづらいだろう。
ドコモ・ソフトバンク・auなど各キャリアが5G対応エリアの拡大を推進中だが、すでに10年近く運用される4G・LTEと比較して基地局数は圧倒的に少なく、対応エリアは限定的。5Gエリアが急速に拡がる都市部は良いが、地方でポケットWiFi・モバイルWiFiを利用する場合は今後の5G対応エリアの拡大予定に注意が必要だ。
5G対応のポケットWiFiルーターと従来機種では料金プランの違いも
5G回線に接続できなければ従来機種と速度が大きく変わらない可能性もある一方、5G対応のポケットWiFi・モバイルWiFiを利用するには専用の料金プランが必要で、従来の料金プランと比較してやや月額料金が値上がりした点も違いの1つ。
この点がユーザーを悩ましくさせる部分で、先行投資的な意味も含めて5Gの料金プランを契約するか、月額料金の安い従来型のポケットWiFi・モバイルWiFiルーターを利用するかで分かれるところだろう。
ドコモ・ソフトバンク・auなど各キャリアのポケットWiFi・モバイルWiFiを利用するにあたり、必要な5G対応料金プランや従来の料金プランとの比較は以下の表の通りだ。
キャリア | ドコモ | ソフトバンク | au・WiMAX |
---|---|---|---|
5G対応料金プラン | 5Gギガホ プレミア(月間通信量無制限) | データ通信専用50GBプラン | ギガ放題プラス(月間通信量無制限) |
月額料金(税込) | 7,315円 | 5,280円 | 4,818円 |
参考)従来機種を利用する場合の料金プラン | ギガホ プレミア(月間通信量60GB制限) | データ通信専用50GBプラン | ギガ放題プラン(月間通信量無制限) |
月額料金(税込) | 7,205円 | 5,280円 | 4,268円 |
やや月額料金の値上がりはあるものの、今後の5Gの普及を考えれば特に東京・大阪などの都市エリアで利用予定の場合、高速な通信速度が特徴の5G対応ポケットWiFi・モバイルWiFi機種を選ぶのがおすすめだろう。
それではどのポケットWiFi・モバイルWiFi機種を契約するのが良いのか、以下では本稿で取り上げた3機種を中心に、おすすめ機種を解説する。
5G対応のポケットWiFi・モバイルWiFiはどれがおすすめ機種か?
ドコモ・ソフトバンク・au(WiMAX)の各キャリアが5G回線に対応したポケットWiFi・モバイルWiFiルーターを販売中だが、おすすめ機種はどれだろうか?以下、エリアや通信速度スペック、料金の観点で比較したい。
5G対応エリアは各社拡大中、速度スペックの比較でも大きな違いはない
まずドコモ・ソフトバンク・au(WiMAX)で5G対応エリアの拡大状況を比較すると各社で多少の違いはある一方、東京・大阪など都市部から5G対応エリアの拡大が開始されている点は共通だ。現時点で「ドコモ5Gは繋がるがソフトバンク5Gは繋がらない」などの違いがあっても、早々に解消されそうな勢いで各社が5Gエリアを拡大している。
5G、全国普及は数年後 携帯各社、エリア拡大急ぐ:時事ドットコム
また、本稿で紹介した5GポケットWiFi・モバイルWiFiの各機種で速度スペックの違いはあるものの、実際に使用する際の速度(実測速度)では大きな違いはないものと考えられる。ルーター機種の細かなスペックの違いを気にするより、いかに5G対応エリアで通信を利用するかに注力したほうが、5Gルーターの価値を感じやすいだろう。
ユーザーの増加に伴い、通信速度低下の懸念もある点に注意が必要
なお、速度スペック上は下り最大速度2Gbps以上などかなり高速に見える5G対応のポケットWiFiやモバイルWiFiルーターだが、将来的にはユーザー数の増加に伴って5Gの実効速度が低下する懸念もある点には注意が必要だ。
ドコモでも、5Gが4G・LTEと同程度に普及した場合の速度低下を想定している。(出典:https://www.nttdocomo.co.jp/area/5g/)
5G最大通信速度からの推定低減率
受信時:10%~19%/送信時:20%~40%受信最大4.1Gbps、送信最大480Mbpsの場合の推定通信速度
受信時:410Mbps~779Mbps/送信時:96Mbps~192Mbps
もちろん、それでも4G LTEとの比較では5Gの通信速度は高速であり、通信速度重視のユーザーほど5GポケットWiFi・モバイルWiFiルーターへの乗り換えはおすすめだろう。
一方、エリアは急速に拡大中で、ユーザー数により実効速度は変動するからこそ、ドコモ・ソフトバンク・au(WiMAX)が発売中の5GポケットWiFiルーターやモバイルWiFiルーターで現時点の対応エリアの広い・狭いや、各機種のカタログ上の通信速度スペックの比較にはあまり意味がないとも言える。
重要なのは次に紹介する各キャリアの料金、5GポケットWiFi・モバイルWiFiにかかる費用の比較だろう。
料金比較で安いのはドコモ・ソフトバンクよりもau(WiMAX)
エリア・通信速度に大きな違いがないとすれば、重要なのは料金比較。ドコモ・ソフトバンク・au(WiMAX)で5GポケットWiFi・モバイルWiFiルーターの端末本体の価格・月額料金も含めた総額費用は大きく異なる。
各社の5GポケットWiFi・モバイルWiFiの契約にかかる費用の比較は以下の通りだ。
キャリア | ドコモ | ソフトバンク | au・WiMAX |
---|---|---|---|
5G対応ポケットWiFi・モバイルWiFi機種 | Wi-Fi STATION SH-52A | Pocket WiFi 5G A004ZT | Galaxy 5G Mobile Wi-Fi |
ルーター端末本体の価格(税込) | 68,904円 | 69,840円 | 無料(定価21,780円) |
参考)3年間利用する場合の総額費用 | 339,559円 | 265,200円 | 176,131円(Broad WiMAXで契約の場合) |
まず言えることはドコモ・ソフトバンクは5GポケットWiFi・モバイルWiFiルーターの端末価格が有料で、月額費用も含めた3年利用にかかる総額費用が高い。
一方、au・WiMAXの5Gルーターは料金の安いプロバイダを選んで契約すれば、費用を大きく節約できる点が特徴だ。例えば、au・WiMAXの5Gルーターもauショップで購入・契約すると高い費用になるが、WiMAXプロバイダ・Broad WiMAXで5G対応モバイルWiFiルーター・Galaxy 5G Mobile Wi-Fiを契約すると端末価格がキャンペーンで無料の上、月額料金も5,000円以下と安いため総額費用も安く利用できる。
このように料金比較では、ドコモ・ソフトバンクのポケットWiFiよりも、auの5G回線・4G LTE回線とWiMAX 2+回線に対応したモバイルWiFiルーターがお得であり、現時点でのおすすめは価格の安いWiMAXプロバイダを利用して契約することだろう。
参考)
WiMAXの5GルーターGalaxy 5G mobile Wi-Fi徹底レビュー